
MT4のエキスパートアドバイザー(EA)を利用してトレードを行う際、「ドテン」という売買手法を使うトレーダーがいます。ドテン売買とは、保有しているポジションを決済した直後に、反対方向のポジションを新たに建てる手法のことを指します。このドテン売買はシンプルですが、相場の流れを効率よくとらえる方法として一定の評価があります。しかし、EAを利用してドテン売買を実行する場合には、いくつかの注意点や工夫が必要です。
まず、ドテン売買が効果的に機能するのは、トレンド相場においてです。相場が一定の方向に明確に動くトレンドが形成されている場合、ドテン売買は素早く方向転換を行うことで利益を最大化することができます。例えば上昇トレンドの最終局面でロングポジションを持ち、その後トレンドが反転して下降相場に入ったタイミングで即座にショートポジションに転じることで、利益を連続して狙うことが可能になります。
一方で、レンジ相場など方向感の定まらない市場では、ドテン売買は頻繁に損切りを繰り返す可能性があります。特にEAは機械的に売買を繰り返すため、明確なトレンドの発生していない相場では、意図しない連続ドテンが発生して損失を積み重ねることもあります。そのため、ドテン戦略を用いるEAを運用する際には、トレンドの有無や相場環境を判断するためのフィルターを搭載しておくことが効果的です。
また、ドテン売買をEAで行う場合には、スプレッドやスリッページにも注意が必要です。ドテン売買は決済直後に新規注文を出すため、頻繁な取引が発生します。短期間に多くの取引が繰り返されると、スプレッドコストやスリッページによるコストが無視できなくなります。特にスキャルピング的な短期売買でドテンを繰り返す場合、これらの取引コストが利益を大きく圧迫する可能性があるため、使用するブローカーや口座タイプを慎重に選択する必要があります。
さらに、ドテン売買を行う際にはEAのロジックが明確であることが重要です。例えば、移動平均線のクロスや価格がボリンジャーバンドを超えた瞬間など、EAが明確な基準を元にドテンを判断できるよう設定されていなければなりません。ロジックが曖昧だと、相場の微妙な値動きでEAが誤った判断を行い、無駄なドテンを頻発させる原因となります。そのため、ドテンEAを運用する場合は明確で単純な売買基準を設定し、それに従った正確な動作が行われることを確認する必要があります。
ドテン売買を運用する際には、資金管理の面でも特別な配慮が必要です。ドテンはポジションを次々と反転させるため、ポジションサイズが大きすぎると短期間に資金が大きく変動するリスクが高まります。EAの資金管理設定を細かく調整し、過度なリスクを避けるような運用スタイルが求められます。例えば、1回の取引でリスクにさらす資金割合を小さく設定することで、安定した運用が可能になります。
以上のように、MT4のEAを用いたドテン売買はトレンド相場での利益を効率的に追求する手法として有効です。ただし、EAが頻繁に売買を繰り返すことに伴うコスト管理や相場環境への適応性、ロジックの明確性、資金管理などの多面的な工夫が求められます。これらを十分に考慮し、適切な設定と注意深い運用を行うことで、ドテンEAは自動売買の効果的な手段の一つとして大きな役割を果たすことが可能になります。